アプリとサービスのすすめ

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在宅フリーランス翻訳者がゼロから仕事を得るためのステップをまとめてみた

現在フリーの翻訳者として、いくつかの会社と契約を結んでいます。年収がいいからとか、英語が好きだからという理由で翻訳者を目指す人が多いですが、なかなか豊富な情報を載せたサイトがないのが現状です。

自分も結構そういった理由で情報が少ない中、足掻かざるを得ませんでした。そこで、何もない状態からフリーの翻訳者として仕事をもらうまでやってきたことを忘れないうちにまとめておこうと思います。
目次
STEP1.翻訳分野を選ぶ

STEP2.翻訳の勉強について

STEP3.翻訳会社のトライアルを受ける

番外編1.受かると仕事をもらえる翻訳試験

番外編2.フリーランス翻訳者として働いてみた感想




STEP1 翻訳分野を選ぶ

翻訳分野

翻訳のメジャーな分野は

・医学薬学 ・政経社会 ・科学技術
・IT ・特許明細・金融証券

の6分野。特に有名な試験のTQEでは19範囲からの出題されます。(参考:翻訳試験TQE)



好みの分野を選ぶ

翻訳にはいくつかの分野があり、その中から自分の専門分野を選ばなければなりません。翻訳の6分野で分野を決めるとき、「好み」の問題は重要です。
好みの面で意識したいのは2点

・選ぶ分野が好きか
・その分野で食べていけるか

「その分野が好き」「儲かる」など多少選ぶ動機が不純でも上の2点をクリアできる分野を選んだ方が翻訳をやる上でプラスになる。

バリバリの文系なのにキライな理系を選んだり、好きだからといって、多少需要が低い分野を選んでも仕事がないわけで結果的に翻訳自体苦痛になります。翻訳はとにかく地味な仕事なので、選んだ分野で仕事していて少しでも「楽しい」と思える分野を選んだほうがいい


単価を意識して選ぶ

好みと同じくらい重要なのは「単価」。翻訳といっても分野によって需要も違うし、単価も異なります(単価はJTF翻訳サイトに一般的な単価が載ってる)。例えば特許や医学分野のように、普通は専門的な知識や用語が多いほど、単価は高くなる傾向が強いです。

しかし、「需要が少ない=仕事が少ない」ということ、なので副業でも本業でも、経験もないフリーのときは需要がある分野は大きなアドバンテージになります。



STEP2 翻訳の勉強について

翻訳に必要な能力

翻訳に必要な能力は初めのうちは
「英語力・用語検索力・訳文作成力」の3つが必要。この力が揃えば優秀な翻訳者の部類に入れます。
この3つを身につける方法は

・翻訳学校を利用する
または
・独学で身につける

かです。自分は翻訳学校の通信制を利用したので、独学8割学校2割みたいな感じだった。翻訳は「他人任せの勉強」ではダメ。自分でやる能動的な姿勢があれば十分身につけられます。ここら辺は好みの問題。

正直独学で勉強する人の方が、早く結果を出すケースが多いです。「独学が好き」っていう勉強経験があるなら、学校に行く前に独学で勉強してみることをオススメします。その後、学校に通うかどうか決めても遅くないでしょう。


独学で勉強する場合

高校までの文法を完璧にする(英語力)

とにかく高校レベルまでの文法の基礎は確実にマスターしましょう。自分は大岩のいちばんはじめの英文法 (東進ブックス) で文法の基礎だけを徹底的にマスターした。または翻訳で目安とされるTOEIC850点以上を目標にして勉強してもOK。


翻訳関連の参考書を読破する(英語力・訳文作成力)

翻訳の参考書の良書は少ない。いくつか読んだけど、翻訳の布石と定石が1番オススメ。まず翻訳テクニックが網羅されていること。この本は実際の試験や仕事でもお世話になってます。

また翻訳力を鍛える目的で、工業英検1級対策―文部科学省後援
を読みました。この2冊があれば、基本的な翻訳力は十分身につきます。参考書に関してはとにかく「これだ」と決めた参考書を覚えるくらい反復すること


翻訳試験の過去問を解く(訳文作成力・用語検索力)

オススメの過去問はTQEとJTF翻訳検定の2つ。特にTQEは取り組みやすく、レベルも翻訳業界で通用するのでオススメ。過去問を解く上で意識したのは「用語の検索力」と「訳文作成力」をつけること。

用語の検索力は書籍翻訳力を鍛える本を参考に辞書を徹底的に使いこなす練習。そして訳文作成力はなるべく参考書で身につけた知識を使いこなす練習です。

ただ漫然と解くよりは、この2つのことを意識するだけで翻訳の総合的な力は全然違ってきます。(過去問はTQEサイトでまたは書籍版でJTFほんやく検定 公式問題集がオススメです)



翻訳学校を利用する場合


テキストを徹底的にやりこむ

独学は無理だから翻訳学校を使おうとする場合、とにかく翻訳学校を利用して下さい。通信制と通学制の2つあり、基本ドライな代わりに情報量だけは市販にはないものがあります。そこでテキストを徹底的にやりこみます。

自分はサンフレアアカデミーの通信制を利用しましたが、テキストは「英語力・用語検索力・訳文作成力」を身につけるのにはうってつけ。自分はサンフレア・アカデミーを利用しましたが、他の有名どころにはフェローアカデミーがあります。



わからないことは徹底的に質問する

翻訳学校の目的が「翻訳に必要な能力の習得」だとしても、肝心のことは聞かないと教えてくれません。通学制なら講師に直接、通信制ならメールで徹底的に質問して、市販では得られない有料の情報をゲットすべきです。

自分はオススメの辞書から、試験対策、プロの翻訳者の勉強法などとにかくわからないことは聞きまくりました。特に通信制の場合は電話で「講師と直接話がしたい」旨を言えば、メールで聴くより具体的で新鮮な情報が得られます。


TOEIC800点以上をとる

TOEICは翻訳の仕事には訳に立ちません。そもそも求められてる能力が違うからです。しかし、フリーランスとしてなんのコネもない状態で翻訳会社に自分を売り込む場合、TOEICは大きな武器になります。「無いよりはあった方が書類審査に通りやすい」のでTOEICはとれるなら是非とった方がいいというのが本音。

TOEIC850点以上が履歴書に書けるのであれば、経験もないフリーランスとしては翻訳会社にワイロを渡すのと同じくらい効果があります。ただし、翻訳者に求められる点数は800点以上はないと、逆に評価は下がる





STEP3翻訳会社のトライアルを受ける

未経験OKの翻訳者枠を狙う

大半の翻訳会社は2〜3年以上を目安に募集をかけてきますが、「未経験OK」の翻訳会社もたくさんあります。そういった会社は一次で書類審査、2次でトライアルといった試験があり、受かれば翻訳者として登録されます。

しかし翻訳業界ではベテラン翻訳者に仕事は集中する傾向があるので、登録されてもいきなり仕事は来ないと割り切り、複数の会社に登録することをオススメします。翻訳会社としてははじめは簡単な仕事から依頼という形が多いので、確実にそういった仕事をこなし信頼を勝ち取ることが近道だといっていいでしょう。



もし翻訳以外に自分に有利な経験があるなら

翻訳者は割と多彩な人が応募してきます。医療関係者が医学翻訳者になったり、IT分野ではPerlXMLを扱うエンジニアも翻訳をします。特別な経験がなくても、自分の専門分野に有利な経験があれば、翻訳経験がなくても履歴書にはかけます。



翻訳者以外の仕事

実は、翻訳会社が募集しているのは、別に翻訳者ばかりでなく、翻訳者の上げた文の誤字脱字、技術的内容のチェックをする、校閲・チェッカー・レビューアなども募集しています。


翻訳者のトライアルに必要な条件を90%満たして初めて合格できるのでハードルが高い。そういった場合には、少しハードルを下げてチェッカーや校閲者狙いをオススメします。報酬は翻訳者と比べてかなり落ちますが、翻訳のスキルの下積みとして翻訳者に応募しつつ、チェッカーも狙ってみると早々に仕事を得ることも少なくありません。


翻訳会社の探し方

翻訳会社を探すのはGoogle検索で探してもいいですが、もっと効率よく探したい場合、以下の方法を使ってもいいでしょう

JTF翻訳サイト

日本翻訳連盟の公式サイトには、翻訳に関する求人情報を検索できるページがあります。

雇用形態で「在宅」にチェックを入れて検索すると、在宅翻訳者つまりフリーランスを募集している翻訳会社の一覧が出てきます。JTFに登録している会社が主に対象なので、googleよりも正確だし、定期的に更新されるので、ブックマークしておくだけで価値がある。

翻訳者ディレクトリ

このサイトは様々な翻訳会社が募集をしている掲示板のようなもので、翻訳会社の連絡先がわかります。自分にあった分野の翻訳会社に履歴書を送ると、翻訳会社も「急募」としているケースが多く、たいてい通るのがこのサイトの特徴です。

自分にあった条件の会社は少ないかもしれませんが、常に募集枠はあるのでこちらも定期的にチェックすると便利なサイトです。

ZapMeta

ZapMetaはgoogleとは別の検索エンジン。検索ワードに「翻訳会社」と入力すると翻訳者募集の会社が多く出てきます。

google検索だとよけいなサイトがでてきたりしてうっとしいですが、ZapMetaを使えば、翻訳会社に特化して検索できるので、効率的に自分にあった翻訳会社を探せます。

アメリア

翻訳者ネットワーク「アメリア」は会員になると、翻訳会社の新着求人情報がメルマガで毎日送られてきます。特にアメリアの求人はアメリア限定で、他のサイトで公開されていない優良案件や未経験OKの会社も多くあります。

新着の求人の場合は、人材を「急募」している会社が募集をかけてくるケースが多いので、トライアル合格後にすぐ仕事をもらえる可能性が高いのでオススメです。




普通にgoogle検索で検索した会社よりアメリアで募集している会社の方が早く仕事をくれるわけです。
また、新着の求人以外にも、会員専用の求人検索や「未経験」の求人を表示できる機能もあり。

受かるコツ

未経験OKの翻訳会社に、片っ端からメールを送り、一次選考として書類審査、2次選考としてトライアル(試験)があり、受かれば、晴れて翻訳者として会社に登録してもらえる。

1次選考では、なんの経験も無い場合「翻訳の勉強歴」やTOEICの点数を書くとかなり有利。特にない場合でも自分の英語の能力を客観的に示す経験や「勉強しましたアピール」をした方が印象はよくなります。

そして2次のトライアル。このトライアルには一定の基準があり、それを満たして初めて合格できます。特に意識したいのは以下のミスをしないこと。1つでもやってしまうとトライアルには受からないですが、これらをすべてクリアできる場合はほぼ受かるケースが多いです。

・誤字脱字

・文法のミス

・語尾を統一しない(です・ます体、だ・である体の混同)

・他の人が読かんでみて意味が通用する文章かどうか

・繰り返し出てくる同じ単語や文章をいろいろなバージョンで訳す (例:Technologyを技術と訳したり、テクノロジーと訳したり等)

・専門用語をきちんと調べられていない(誤訳)


一度失敗しても諦めない

正直、一発目で受かる人はほとんどいません。しかし、日本には1200社くらい翻訳会社があるのでチャンスは無限にあるので、2、3回失敗してもなぜ失敗したかを分析して、再チャレンジしましょう。


ちなみに翻訳会社は訳文の添削はしないで、イエスノー方式で合否の結果だけ送ってきます。上記のミスをしていないとか、スキルとして不足しているものがあれば補うなど、失敗しても次のケースに何らかの形で活かすのがコツです。



単価を聞かれたときは?

翻訳会社は必ず単価を聞いてくる。正直、いきなり単価を聞かれても困惑することも多いです。「できるだけ高くしてくれ」なんて態度だと、相手にもしてくれません。

特に自慢できる経験がない場合は一般の単価より低めに設定するか、「貴社の翻訳者の方々と同じ単価で結構です」と言えば、好印象を持ってくれます。少々「何やってんだ」という気持ちもなくもないですが、単価は少し自慢できる腕がついてから、融通がきくので、「仕事を得ることが第一の関門」と割り切ることも必要でした。



受かると仕事をもらえる翻訳試験

トライアルを受ける以外にも翻訳試験に受かることで仕事をもらえる仕組みがあります。以下の試験は3級以上に合格すると翻訳者として登録してもらえて、安定して仕事がくるのでオススメ

・TQE
→5日間の試験方式。在宅受験で年に4回。合格するとサンフレアの翻訳者として登録される。

・JTF翻訳検定
→2時間の試験方式。在宅受験で合格すると同じくJTF翻訳者として登録してくれる。



受かるコツはこちらの参考記事をどうぞ
trafalbad.hatenadiary.jp



フリーランス翻訳者として働いてみた感想

ここまでは自分の経験からいきなりフリーになる方法を書いてきました。フリーランスは自分の実力証明が実績だけなので、明確な成績を仕事で出せないと即終わりという厳しいものです。できれば、一般的なフリーランスへの道をたどるのがベストだと思いますが、いきなりフリーを目指すのも人の好みによります。一般的な方法は翻訳会社、もしくは翻訳関係の仕事を扱っている会社に就職してから「下積み」として2〜3年働いた後に独立というがもっと一般的な方法でしょう。

自分は大学卒業後にフリーとしてやってますが、まだ2016年7月現在で1年も経っていないのでここ数年の見通しはたっていません。しかし、それなりにスキルがあり仕事ができれば需要は絶えないように思えます。

フリーである以上、仕事でミスを一度しただけでも信頼に傷がつき、翻訳者生命の関わるので緊張の連続です。どんな形にせよフリーとして独立するなら一定の緊張感を持って仕事をするとか、収入のリスクヘッジは欠かさないなど、生活の全責任を自分で担う必要があるようです。とはいえ、自分なりの生活を送れるという意味で、会社に隷属するよりは個人的には給料も高いし、満足度は高いというのが本音。




ちなみに自分はフリーとしてホヤホヤで翻訳者としてはアルファ位にしか名乗れませんが、一応仕事をもらっているので、今までやってきたことをまとめておきました