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独立したてのフリーランス翻訳者が直面する「仕事をもらうまでの現実」とその対策、自己管理方法をまとめてみる

フリーランスの翻訳者として大学を卒業してから、半年が経った。とはいえ、翻訳者として完全に独立できる状態になったのはつい最近だ。フリーランスを経験したことがない以上、想定外のケースも多く、中々おいそれと翻訳だけで独立することはできなかった。そこで、翻訳者がフリーランスとして独立するまでに必要なこと、フリーランスとしての生活面の自己管理方法を自分の経験内で紹介したいと思う。

目次
1.フリーランスとして食べていくために出会う現実
2.仕事以外にフリーランス翻訳者がすべきこと


1.フリーランスとして食べていくために出会う現実
自分はかなり特殊なケースかもしれない。その理由は大学卒業から会社に勤めることもなくフリーランスを目指したからだ。普通は会社勤めからフリーランスへ進むのが正規ルートなので、大なり小なりいきなりフリーランスは予想外のことが起きる。
それを踏まえた上で、フリーランスとして独立してからすぐに直面する現実について触れていきたい。

フリーランスがはじめに経験すること

まずフリーランスとしての経験が無かった自分は仕事面でいろいろと想定外のことがおこった。それを上げればキリがないが、いくつか紹介すると4つある。


実力不足に伴う収入不足

翻訳者は実力により単価というものが結構変動する。一文字当たり数円とはいえ、1000字だと収入は数千円単位だ。自分は医学薬学分野を選んだが、結構難しくてクライアントの要望に見合う文章は容易に書けなかった。

分野にもよるが、翻訳は十分に業界で通用するという確信と実績がなければ、生活できるだけの収入を得ることは難しい。自分の専門分野で十分に稼いだ経験があったり、すでに数社との契約があり、仕事をもらえている状況でないと油断はできない



翻訳会社とのやりとりが上手くいかない

翻訳会社は残念ながら良心的な世界ではない。単価が減る現在では、中々良心的な会社も少なく、収入も翻訳者側であれこれ言えないのだ。

独立してからは翻訳会社のいいなりになり、耐える時期も必要になる。十分な実績と実力を備えて、向こうからお願いされるくらいになってから、会社にあれこれ要求できるようになる。(実力)=(翻訳者の独立できる力)といえるので、とにかく独立するには力をつけよう。



生活環境が急変するために自己管理が大変

これが個人的に一番大変だ。フリーランスというのはたいてい、会社や学校などある程度自分を縛りつける「強制力」のある環境から抜け出した状態が多い。フリーランスは朝から夜まで何をしても自由。

仕事だっていつどこでしようが、納期を守れば文句は誰も言わない。ただ、翻訳はなにぶん頭が疲れるし、自堕落になりがちだ。それに土曜日も日曜日も無いことも少なくない。自分で生活をコントロールできる人、フリーランスとして仕事がこなせる人は問題ないが、きちんとした自己管理は予想以上に大変。規則正しい生活は慣れるまで必要になってくる。



アルバイトや他の仕事との兼業

翻訳者は実力によりピンからキリまでいる。独立した段階だと、すでに契約している会社以外のコネクションしか頼れないことも多いし、次の仕事を得るまでにどうしても「稼げない期間」が出てくる。そうしたとき、副業、多くの場合は”バイトをする”ことになると思うが、翻訳以外の仕事をしなければならなくなる。自分は収入が安定しないときはバイトで補ったりしていた。

独立したてはシャクだが、実力がないときは生活するために、他の仕事をこなす必要も出てくる。



翻訳者が独立するために十分な収入を得るには


フリーランスとして独立するということは会社や何かに従属しなくても稼ぐ力が備わっているということだ。ブロガーやyoutuberでも「好きなことで生きていく」という名目で独立を目指す人も多いが、翻訳で独立する人もだいたい目的は同じはずだ。

以下の記事は駆け出しのフリーランスには役に立つ記事だと思う。
www.bloglifer.net


「好きなことで生きていく」とまでは言わなくても「翻訳で生きていく」ために必要なことは個人的に挙げると
・翻訳者としての実力

・翻訳会社とのコネクション

・需要のある翻訳分野を持っているか

がある。
まず、翻訳者の実力に関しては先に述べたように、業界で十分な実績がある、クライアントをうならせる訳文ができる、複数の分野に対応できる専門知識などキリがないが、一度でも「翻訳だけで生活できた」体験ができれば、翻訳者としての実力はついてきたといえる。あとはクライアントの信頼を裏切らない仕事をすればいい。


翻訳会社とのコネクションだが、これは契約してる会社が多ければ多いほどいいケースもあれば、なるべく多くの会社に自分の実力を知ってもらう「翻訳者としての知名度」など、ケースは多岐に渡る。しかし、普遍的に言えることは「会社側からお願いされる状況にあること」「自分の要求を飲んでもらえる対等な関係を築けること」の2点がコネクションの面で大きな力だといえる。どちらも実力があれば可能だ。


また翻訳の需要のある分野だが、たいていの人は”産業翻訳”をこなすことになるはずだ。その産業翻訳の中で需要のある分野で稼ぐ力がなければ独立は厳しい。”特許分野”や”医学・薬学分野”のように需要が数年先まで安定している分野で稼げるなら少しは安心できる。しかし、”政治経済”、”アカデミック”の分野の翻訳のように実力のある翻訳者にしか仕事がいかない、”需要が少ない分野”ではいくら実力があっても食べていけない。

もし、自分の分野で食べていけるなら問題ないが、分野を選ぶ際に”需要”は大きな問題だ。翻訳分野を複数かけ持つことは当たり前と考えて、好きな分野以外にも需要のある分野で稼ぐ力をつけることが独立する上で欠かせない。





2.仕事以外にフリーランス翻訳者がすべきこと


フリーランスとして独立したらまず一番に意識すべきは「なるべく余裕のある状況」を作ることではないかと思う。独立したばかりだとわからないこと、思いもよらないハプニングはほぼ100%起こる。また数年先まで見通す力、コントロールできる力もないと不安だ。

そう言った状況を克服すべきにはフリーランスとしての生活に慣れることも必要だが、意識的に生活面で自発的な行動を起こさなければならない。質問をいただいたので、恐縮ながら上から目線で翻訳者が仕事以外でやるべきことをいくつか挙げていこうと思う。


他の収入源を探す

翻訳だけで食べていくのは実力がないうち、特に独立したては厳しい。また翻訳も将来的に、特に最近は翻訳レートが下がっている。なので「翻訳だけ、または翻訳の一分野だけで食べていく」といった姿勢は少なからず、将来的にデメリットになる。

自分は転売、ブログなど収益は少ないが、収入源を複数持つようにしている。また他の翻訳分野の勉強をしていて、”翻訳の他の需要のある分野で稼ぐ力”や”和英翻訳(英訳)”などの勉強もしている。

結果的に、稼げる分野を将来的に広げるつもりだ。収入源はなるべく多く持っていた方がいい。稼げるものが1つしかないと、もしそれが稼げなくなったときフリーターになってしまう。それを避けるために複数の収入源を意識的に作ろう



翻訳力を鍛える(勉強する)

翻訳者である以上、実力があるに越したことはない。ワードマクロや辞書、訳すスキル、トラドスなど翻訳力に直結する力は結構ある。自分はアメリアに一年だけ登録していて、そこから定期的に情報を得たり、英訳の勉強法の参考にしたりしている。

現状で十分な力があるならいいが、それでも翻訳者は現在進行系で勉強をした方が実力もつくし、他の翻訳者との差別化にもなる。何より独立する力をつけるためには勉強することが一番の早道かもしれない。



自己投資する

「自己投資」とは株などの投資ではない。将来性を考えた上で、自分のスキルや知識になることにお金や時間を使うことだ。「学習」も自己投資に含まれる。

翻訳である程度お金を稼げるようになれば、本を買ったり、辞書を買ったりと稼いだお金、時間を自己投資に回そう。自分は翻訳学校や辞書などに多少、初期投資としてお金を使った。学校に行ったことは後悔しているが、辞書や書籍等の投資は今でも役に立ってくれている。

何が”自己投資”になるかは人それぞれだが、よく調べた上で自分のためになることにお金や時間を使ってみよう。



生活管理ノウハウを学ぶ

フリーランスは会社や学校とは違って拘束力が少ない。自分で全ての時間を管理するわけだから時間管理術は想像以上に必要になってくる。個人的に仕事以外の空き時間にすべきことや時間管理術のアイデアを紹介する



好きなことをする(休む)

翻訳はなにぶん疲れる。翻訳が楽しくて仕方がない、いくらやっても疲れないなら問題ない。が、休むことと仕事の質、特に訳文の完成度は”どれだけ休んだか”に比例する部分も多い。頑張り過ぎず、適度に休みながら働かなければならない。

フリーランスは週7もザラにあるので、マラソンのように飛ばし過ぎると息切れするのだ。ちなみに自分は一日に必ず、遊ぶ時間を設けている。仕事と休憩に関するノウハウに関する本は以下の本がオススメ。



時間管理ノウハウを学ぶ

”ビリオネア”と呼ばれる世界有数の起業家は世界一多忙と言われる。そこで彼らの時間管理ノウハウが書籍として紹介されている。
その中には、
・多い仕事は分割してこなす

・仕事を始める前に脳の準備運動をする

・朝は起床時間を5〜6時にして、仕事は夕方までに片付ける

・1日のうちにアイデアの思考時間を設ける

・学校のような時間割表を作って生活を管理する

など多数ある。大きな書店に行ってみよう。超忙しい人が実践している時間管理ノウハウがズラリと並んでいる。そんなノウハウはフリーランスとしては、是非手に入れたい。
以下は自分が特に気に入っている時間管理ノウハウの本




強制力を日常に取り入れる

学校や会社にいたときに時間を守らなければ、しかる人、注意する人がいた。学校や会社ではそういった人を恐れて体も強制的に動く。そういった「強制力の働く環境」はフリーランスにはない。

そこで、「強制力」の働く環境を必要に応じて自分の中に取り入れよう。先に書いた仕事以外にすべきことを日常に必ず取り入れたりするのがおすすめ。バイトを入れたりするのもいい。

自分は”科目等履修生”という半分学生のような仕組みを利用していて、学費の安い国立大学に行きながら仕事をしている。1人だと仕事の納期や、生活管理が上手くいかないので、バイトを入れたり、サークルに行ったりと学校生活を日常に取り入れることでフリーランスを何とかやっている。



仕事場を見つける(作る)

これはあくまで雑誌でよく見る翻訳者のことだが、ある程度資金があるなら仕事場を作ったり、定期的に通える場所で仕事をしてみるのもいいかもしれない。

翻訳者はパソコン一台で仕事ができるので、旅行しながら働くとか、本田直之高城剛のように住居を複数持ち、そこを転々としながら働くノマドライフみたいなライフスタイルを送るのもいい。将来的に自分は住居を複数もち、移動しながら働ける環境を目指している。

こうしたライフスタイルは仕事の効率も信じられないくらい上がるので、是非目指してみてはいかがだろうか。




今回は質問をもらったこともあるが、フリーランスとして独立して半年の節目でいろいろ書いておきたかった。とはいえ細かく書けばまだまだ書き足りないし、「こんなこともネタになるのか」と気づく部分もかなりあった。