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『クリストッフェル記号』の計算方法:一般相対性理論のレポート録

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この記事はGoogle検索で「クリストッフェル記号」の計算方法を探してる人向けに書いています。
この記事は某国立大学の物理学の一般相対性理論の授業のレポート録です。

*この記事では「クリストッフェル記号」の計算方法が具体的にわかるように書いています。

「クリストッフェル記号」とは

クリストッフェル記号とはアインシュタイン一般相対性理論で使われる粒子の運動方程式に出てくる記号のことです。

ここでは詳しい解説は避けてレポート問題の紹介と解法、その中でクリストッフェル記号の計算方法を示します。
*参考サイト「wikipedia

問題文

計量{g_{μν}}が次の形で与えられる3次元時空を考える

{ds^{2}=g_{μν}dx^{μ}dx^{ν}=\frac{a^{2}}{u^{2}}(-dt^{2}+dy^{2}+du^{2})}

ここでは定数{a}、また
{x^{μ}=(x^{0} , x^{1} , x^{2})=(t , y , u)}

問.
クリストッフェル記号
{Γ_{νρ}^{μ}=\frac{1}{2}{g^{μσ}}(\frac{ \partial }{ \partial x^ν }{g_{σρ}}+\frac{ \partial }{ \partial x^ρ }{g_{σν}}+\frac{ \partial }{ \partial x^σ }{g_{νρ}})}

のゼロとならない成分が{Γ_{uu}^{u}}であり

{Γ_{uu}^{u}=-\frac{1}{u}}
となることを示せ

クリストッフェル記号の計算方法

クリストッフェル記号についている添え字{μ,  ν,  ρ}は任意の変数です。これに数字を代入して右辺の{σ}の値を決めます。

例えばここでは3次元時空を考えているので、代入する数字は{0, 1,  2}の3つ。そして{x^{μ}}にそれぞれ{0, 1,  2}を代入すると

{x^{μ}=(x^{0} , x^{1} , x^{2})=(t , y , u)}

となります。
クリストッフェル記号ではまず左辺の添え字に何を代入するか決めます。そして右辺の計量{g_{μν}}を求め、その計量の逆行列{g^{μν}}を求めます。

左辺の添え字に代入する数、計量、計量の逆行列が求まったら、{σ}の値を求めます。
{σ}の値の決め方ですが、まず{σ}に代入する数字の値の範囲を定めます。例えばここでは計量{g_{μν}}{0〜2}の値までしかとらないので、必然的に{σ}の値も{0〜2}の範囲に限定されます。
そして代入する値の範囲がわかったら、その範囲で{σ}の和をとります
式で表すと
{\displaystyle \sum_{ σ= 0 }^{ 2 }{Γ_{νρ}^{μ}}=\displaystyle \sum_{ σ= 0 }^{ 2 }(右辺)}

右辺の{σ}について{0〜2}まで和をとり、全ての項を計算していきます。

たいていの問題はほとんどの項がゼロになるので、ゼロにならない項を的確に見つけてスムーズに計算するのがコツです。


解説

まず、3次元時空なので計量{g_{μν}}の行列の各成分を次のようにおきます。

{g_{μν}=\begin{eqnarray}\left(  \begin{array}{ccc}    g_{00} & g_{01} &  g_{02}\\    g_{10} &  g_{11} & g_{12} \\    g_{20} & g_{21} & g_{22}  \end{array}\right)\end{eqnarray}}

そして式
{ds^{2}=g_{μν}dx^{μ}dx^{ν}}

に関しては計量は{0〜2}までの値しかとらないため、{μ ,  ν}{0, 1,  2}の値をとります。
よって式

{ds^{2}=g_{μν}dx^{μ}dx^{ν}}

{0〜2}まで和をとり計算します。


{\displaystyle \sum_{ ν , μ = 0 }^{ 2 } g_{μν}={g_{00}dt^{2}}+{g_{01}dtdy}+{g_{02}dtdu}+{g_{10}dydt}+{g_{11}dy^{2}}+……+{g_{21}dudy}+{g_{22}du^{2}}}

これは式
{ds^{2}=g_{μν}dx^{μ}dx^{ν}=\frac{a^{2}}{u^{2}}(-dt^{2}+dy^{2}+du^{2})}

と同値なので恒等式より、

{dt^{2}  , dy^{2} ,du^{2}}

の各項を比較すると

{{g^{00}}= -\frac{a^{2}}{u^{2}} ,  {g^{11}}=\frac{a^{2}}{u^{2}}  ,    {g^{22}}=\frac{a^{2}}{u^{2}}}

になり、計量{g_{μν}}

{g_{μν}=\begin{eqnarray}\left(  \begin{array}{ccc}    -\frac{a^{2}}{u^{2}} & 0 & 0 \\    0 &  \frac{a^{2}}{u^{2}} & 0 \\    0 & 0 & \frac{a^{2}}{u^{2}}  \end{array}\right)\end{eqnarray}}

となります。次に計量{g_{μν}}逆行列を求めます。
計算{g_{μν}}は対角行列なので、逆行列は真ん中の成分の逆数を求めればいい。というわけで計量の逆行列{g^{μν}}

{g^{μν}=\begin{eqnarray}\left(  \begin{array}{ccc}    -\frac{u^{2}}{a^{2}} & 0 & 0 \\    0 &  \frac{u^{2}}{a^{2}} & 0 \\    0 & 0 & \frac{u^{2}}{a^{2}}  \end{array}\right)\end{eqnarray}}
となります。

ここからクリストッフェル記号の計算に入ります。
まずクリストッフェル記号の左辺の変数である{μ   ,   ν  ,  ρ}に代入する数値を決めます。

ここでは

{Γ_{uu}^{u}}

を求めたいので、{u}すなわち、{2}を代入します。
するとクリストッフェル記号は

{Γ_{uu}^{u}=Γ_{22}^{2}}

となります。ここで「クリストッフェル記号の解法」で紹介したように、右辺の{σ}について和をとります。
{σ}{0, 1}のとき、計量{g_{μν}}および計量の逆行列{0}となるので、{g^{22}}の値のみ考慮すると、

{\displaystyle \sum_{ σ= 0 }^{ 2 }(右辺)= \frac{1}{2}{g^{22}}(\frac{ \partial }{ \partial u } (\frac{a^{2}}{u^{2}})+ \frac{ \partial }{ \partial u } (\frac{a^{2}}{u^{2}})-\frac{ \partial }{ \partial u } (\frac{a^{2}}{u^{2}}))}


{\frac{1}{2}{\frac{u^{2}}{a^{2}}}(-\frac{2a^{2}}{u^{3}}-\frac{2a^{2}}{u^{3}}+\frac{2a^{2}}{u^{3}})=-\frac{1}{u}}

よって、クリストッフェル記号は
{Γ_{uu}^{u}=-\frac{1}{u}}

となることが証明されました。