翻訳に辞書は欠かせませんが、プロが扱う辞書は決まって、高価なものです。普通は翻訳やりたてのホヤホヤにはそんな投資資金はありません。
ところが最近では優秀な無料のオンライン辞書、格安でプロ並の機能を備えたツールが利用できるようになりました。今回は無料で利用できる英和和英オンライン辞書、検索エンジン、オンライン英英辞書などをいくつか紹介していきます。
目次
・無料版オンライン辞書(英和和英)
・有料版オンライン辞書(英和和英)
・検索エンジンいろいろ
・オンライン英英辞典
・オンライン辞書は翻訳のための必須ツール
無料版オンライン辞書(英和和英)
オンライン辞書は複数の辞書から、単語の意味を一度にたくさん検索できます。例えば「life」と検索ワードに入れれば、南山堂医学辞典だとか、webilio大辞典みたいにオンライン辞書にデータベース化されている複数の辞書から関連する意味を一度に全て表示できるわけです。
「life」と入れれば、「life aboard ship」とか「life action」とかデータベース化されている辞書全てに載っている意味が全てされます。(*これを俗に「串刺し検索」と言います)。これはすなわち、一つの単語検索だけでいろんな意味を調べられるわけですから、大幅な時間の節約になるわけです。
一つの辞書を使うのと、こうした複数の辞書がデータベース化されたオンライン辞書ではすでにパワーが全然違います。オンライン辞書を使いこなせれば、大幅な翻訳力upになるということです。
ここでは無料で串刺し検索が出来る、優秀なオンライン辞書を紹介します。和文検索、英文検索ともに可能だし、英語を調べる際にもアマチュア、プロ関係者なく重宝します。
英辞郎
www.alc.co.jpアルク社の「英辞郎」は、かなりメジャーな串刺し検索可能なオンライン辞書。試してみるとわかりますが、一度にかなりの単語の意味がでてきます。利点は他の辞書には無いドンピシャな意味が見つかること。多彩なデータの中から欲しい訳がかなりの確率で見つかります。
気をつけたいのは、英辞郎はユーザーの投稿データを基にしているため、ありえないくらい不適な訳が出てくるということ。必ずgoogle検索であってるか確認しないと、翻訳で使うのは厳しいのが英辞郎のツライところです。
Weblio英和和英
ejje.weblio.jp
こちらは英辞郎ほどたくさんの訳は出てきませんが、複数の英語辞書のデータを集約させた辞書で、より英辞郎より正確な串刺し検索が可能。
ただこちらもgoogle検索などで、正しい訳か確かめた方がいいですね。どちらにせよ「英辞郎」と「Weblio」はオンライン辞典の中ではかなりの鉄板で、併用して使うのが一般的です。
Weblio類語辞典
thesaurus.weblio.jp翻訳ではピッタリの訳がなかなか見つからないことがよくあります。例えば「手足」をカッコよく「四肢」と部の言い方で訳したいとき、いい訳が思いつかないことが多々あります。
しかし、このWeblio類語辞典に「手足」と入れると、関連ワードにたくさん変換され、その中に「四肢」という適訳語があるときが多い。そんなピッタリの類語を探したいときに使える辞書。
Linguee
www.linguee.jp
単語の意味を辞書と翻訳されたテキスト1億件から検索してくれるサイトです。一つの単語で見つからない訳は無いのでは?といえるくらい訳が出てくる、優秀な串刺し検索可能な辞書。
特に英訳翻訳者には数あるオンライン辞典の中では必須ものとなってます。
WordReference.com
www.wordreference.com
約19言語で検索ができるサイト。例えば「Janpanese-English」という言語を選択すれば、検索ワードから「日本語と英語」の訳語が一気に検索されます。
調べた単語の関連語がバーッと表示されるので、Weblio類語辞典には劣りますが、関連語探しには使えます。
有料版オンライン辞書(英和和英)
こちらは有料版ですが、格安で高性能な串刺し検索が可能なオンライン辞書。市販の辞書がインストールされており、それをもとに訳例を検索してくれるので、無料版よりも訳の正確性が高いのが特徴です。
KODオンライン・ディクショナリー
KODはだいたい27個くらいの辞書が登録されていて、それらすべてから一度に意味を検索してできます。半年で3240円、1年で5940円で利用可能。無料版と違うのは正確性です。正規の辞書から引っ張ってくるので、正確な訳がでてきます。
【KODオンライン・ディクショナリー】
三省堂Web Dictionary
www.sanseido.net
これは月額270円で利用できる辞書。KODよりは若干劣りますが、串刺し検索可能ということを考えれば、有能で利用価値は充分あります。英和辞典、和英辞典の他、国語辞典など複数の辞書が登録されています。
複数のオンライン辞書を一つにまとめるツール「Dicregate」
ネット上で利用できる辞書ってどれくらいあると思いますか?外国の辞書も含めれば山ほどあるのが現状で、それらの多くは「串刺し検索」ができません。
そんなネット上に点在する辞書をひとまとめにして、それらすべての辞書からの串刺し検索を可能にするツールが「Dicregate」です。有料で1995円とかなり格安で使える秀逸ツール。しかし弱点としては
・Windowsにしか対応してないこと
・一部登録できない辞書があること
の2つです。どちらにせよ、Dicregateはかなり優秀なツールなので、使える環境なら使って損はありません。
検索エンジンいろいろ
検索エンジンの使い方
「検索エンジン」とはネット上にある情報ならなんでも(例えばウェブサイト、画像ファイル、ネットニュースなど)調べるサービス。検索エンジンは辞書とは違い、単語を入れると、単語が載ってるものならウェブサイトやニュースまでなんでも出てくるということです。
特に「辞書には載ってない専門用語を調べる」という点では辞書より優秀です。翻訳をするならこの「検索エンジン」を使わない手はありません。ここでは特に秀逸な「検索エンジン」を紹介します。
Ritlweb
www.ritlweb.com
googleやYahoo!を含め、10個の検索エンジンから単語の意味や関連サイトなどの情報を検索します。
10個の検索エンジンで検索ワードから何件ヒットしたかが表示されるので、1つの検索エンジンよりも調べたい単語の意味を複数のサイトから検索できます。特にRitlwebは検索エンジンの中で優秀な方です。
Yippy.com
こちらは日本語未対応ですが、関連サイトがカテゴリ別に検索されます。専門分野にしかない独特の意味も、手っ取り早く調べることができます。
日本語未対応ですが、英語の専門用語の関連サイトを一度に検索でき、さらにカテゴリ別に分類してくれるので、特にスピード感の面で、検索エンジンとしてはかなり優秀な部類に入ると思います
【Yippy.com】
その他の検索エンジン
上の2つには劣りますが、他にも老舗から最新まで検索エンジンはたくさんあります。特に2番目のWebopediaはIT用語専門の検索エンジンです。
特に上の2つよりは優れた点がなかったのですが、DuckDuckGOは訳語の正確性が高いなど、各検索エンジンにはそれぞれ他にはない独特の特徴があります。
オンライン英英辞典
英英辞書は全て英語で書かれている辞書。使い方は「英単語の本来の意味を調べる」こと。日本語の和英辞書は、日本人が書いてるので、解釈が外国人のものとは違ってるケースが多いのです。
そんな「英単語の本来の意味を調べる」ときに、英英辞書を使います。英訳、和訳に関係なく、翻訳では英英辞書の使用は必須となっています
Oxford Dictionaries
www.oxforddictionaries.com幅広く意味が調べられる一番スタンダードな辞書。日本語のオンライン辞典のように串刺し検索はできませんが、英語圏で使われている正確な意味がないのっています。少し説明不足なのが難点
Merriam-Webster
www.merriam-webster.comスタンダードな訳に加えて少し、学術的な正確さが高い辞書。特に専門的な用語でも詳しく意味が載っている場合が多く、医学分野などの学問的な分野で重宝します。
collins
www.collinsdictionary.com
例文や関連用語がたくさん出てくるので、英訳の翻訳者には欠かせない辞書。英単語だけではなく、熟語なども扱ってます。説明が少ないですが、単語オンリーの英英辞典と比べて使い勝手がよいです。
Ldoceonline
www.ldoceonline.com
解説がかなり詳しく、1つの英単語でも他の英英辞典と比べて圧倒的に解説量が違います。単語の意味を網羅的に調べたいときに便利。機能性の面では他の英英辞典とほぼ変わりません。なので優秀な英英辞典といえると思います。
オンライン辞書は翻訳のための必須ツール
プロの翻訳者はCD-ROMのインストール版の辞書を複数持ってるケースが多く、全てオンライン辞書というプロの翻訳者は少ないようです。特に、Logophileというインストール版の辞書を串刺し検索可能にするツールがあり翻訳者の間でも使ってる人は多い。
しかし、オンライン辞書をまったく使わない翻訳者もまた、いません。結局のところ、オンライン辞書を自在に操れるようになれば、翻訳力も格段に上がります。
日本語版のオンライン辞書、オンライン英英辞書、検索エンジンを使えれば翻訳レベルは格段に上がる。そういう意味で、アマチュア、プロに関係なくオンライン辞書は翻訳に必須のツールです。
今回はかなりマニアックなオンライン辞書も、ありましたが、優秀なものに絞って紹介しました。他にもオンライン辞書や検索エンジンはありますが、ここで紹介したやつを複数使いこなせれば正直、充分なレベルまでいけます。少なくとも、翻訳試験TQEならここで紹介したオンライン辞書で充分です。
ちなみにより詳細はこちらの本に書いてあります。今回はその中から個人的に使ってみてよかったものを抜粋しています。